運命の哲学

新刊(2002/03) 『哲学の木』(講談社)
ISBN4-06-211080-6     

講談社・哲学の木

運 命

『事典・哲学の木』(講談社)所収


      1.「運命」の二通りの意味

      2.運命嫌いの近代人

      3.近代人の「運命」

      4.ストア学派の運命観とその背景

      5.個と共同性の和解の表現としての運命

      6.ヨーロッパ近代における運命との対決

      7.ロマン主義・ドイツ観念論における「運命」の再発見

      8.現代の祭儀としての星占い

      9.近代市民社会の本質とその運命




概要  近代人は「運命」ということばを好まない。一般に、運命を受容するより克服してゆこうとする強い意志が尊重される。他方、科学技術の発達した現代でも星占いや姓名判断、血液型などに頼って自分の運命を知ろうとする傾向も根強い。現代人の運命とのつきあい方は、何かぎくしゃくしている。運命とのつきあい方のへたな近代人は、他者や自然とのつきあいかたもへたである。近代に運命に対して対決的な姿勢が強調されるようになったのはなぜか、それにもかかわらず人はなぜ非合理な方法で自分の運命を知ろうとするのか ― この不思議な現象に着目することで、「運命とは何か」、「私たちは運命とどのようにつきあってゆけばよいのか」といった問題解決の方向が見えてくるのではないだろうか。


Index